先輩ママの知恵袋

カルトン・アート・スタジオ、カルトンクラブ主宰 吉田和代さん

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私は現在、現代美術家として子どものアートワークショップや「胎内記憶画」のワークショップを展開しています。三田のみなさまには郷の音ホールや子育て支援などでお世話になっております。

私には25歳と23歳の二人の娘がいます。私は若い頃から現代美術に携わり、子どもが生まれてからはしばらくお休みしていましたが、阪神淡路大震災後、再び子どものアートワークショップを中心に活動してきました。阪神淡路大震災の時、娘たちは5歳と3歳。それまでの私は子育て中心で、育児本ばかり見ては思い通りにならないと悩んでいました。そんな時にあの震災があったのです。
私の家は神戸市北区の比較的被害の少ないところでしたが、ニュースで映し出される神戸の映像は本当にショックをうけました。
皆さんの親御さんや周りの方にも、あの時何か出来ることはないかと行動された方も多かったのではないでしょうか?私も自分に出来ることはないかと考えました。

 

子ども達と一緒にアートで遊んで「自由な発想と驚きで楽しませてあげたい。」

まず、自宅のリビングで小さなアトリエを開きました。名前は「カルトンクラブ」、カルトンは画板や厚紙を意味し、子ども達の大きな夢と希望を描いてもらえる支えになればと名付けました。
また、六甲アイランドの崩れた石畳の広場で子ども達とビニール袋や古米袋を使ったファッションショーをしたり、芦屋美術博物館の庭で大きな絵を描いたり、他のところでもいろいろ一生懸命やりました。

子どもの自由な発想は、アートをやってきた私にはとてもおもしろく新鮮でした。時に我が家がおばけやしきや秘密基地になってしまうことも…。主人の義母も同居していますが、協力的でしたので家族の皆に助けられて楽しくやれました。前よりずーっと忙しくなったのに充実感を持てたせいか、心に余裕ができ子育てのストレスがなくなっていきました。

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親子の絆「体内記憶」との出会い

そのような中、私と子ども達にもう一つ大切なワークショップが生まれました。それは子どもにお母さんのおなかにいた頃を思い出してもらい、絵を描いてもらう「絆のドローイング胎内記憶」というワークショップです。このワークショップを行うきっかけとなったのは、18年前の次女(当時5才)の発話から始まります。

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私と次女(当時5才)がお風呂に入っていた時の事です。
私が何気なく「なっちゃんは初めて聞いた音ってなんだろうね~?」と娘に尋ねたのです。その当時、参加していた美術の研究会での課題が「音」だったこともあり、ふと口に出たのでした。
すると娘は「あのね~、なっちゃんねママのおなかにいた時、ママがご飯食べてるとき歯のカチカチっていう音をきいてたよ。美味しい音で骨からきいてたよ。」と答えたのです。
私は半信半疑で「ほんとに~!ママのおなかの中で?」と聞くと娘は「うん、おなかの中で骨から音楽みたいにきいてたよ。」と話してくれたのです。

私はもうびっくりです!

当時は胎内記憶なんて言葉すら耳にしない時代です。我が子がおなかにいた時のことを憶えていてくれたなんて、私は驚きと感激でお風呂に入っているのに鳥肌がたつほどでした。

そして娘にその絵を描いてもらったのです。特別で貴重な絵でした。

この経験から「他の子ども達も憶えているのだろうか…」という興味と、この貴重な絵を多くのお母さんたちにも見せてあげたいという思いがあり、胎内記憶画のワークショップを行うことを決めました。ただし、個々の事情も考え希望者のみのワークショップにしました。

 

おなかにいるときから育まれる“感情”

あれから18年、多くの子に胎内の記憶があることが分かりました。

全般的にみたところ、2~4歳の小さい子ども達は、結構な割合で胎内や出生時の事をリアルに憶えているようです。
「パパとママの声きこえたよ。」「プール中でママと血でつながっていたからおぼれないよ。」というものや、「お水ぐるぐる~ってまわってた。苦しかったけどパーッと明るくなって出たらママいた。」というような出生時と思われる表現です。
子ども達も出生時はとても苦しかったり怖かったり、お母さんと同じように頑張っていたのがわかります。

しかし、もう少し大きくなると(5~6歳前後)出生時の辛いリアルな表現が少なくなり、今度は夢物語のような空想と現実が一緒になったようなものが多くなります。
憶えていない子も多くなりますが、母親の話を聞いて思い出したように絵を描いてくれる子もいました。

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ワークショップの回数を重ねるごとに次第に面白い現象があらわれました。

「虹に乗って遊んでいて、お母さんをみてた。お母さんのところへ行きたいな~と思って飛んで行った。」、「たくさんの子ども達がいて、雲に乗ってあそんでた。ママを見ててやさしそうだな~、会いたい、会いたいと思ってた。弟もいた。私が先に「行ってきますー」ってママのとこ行った。」など、別々のワークショップで同じような話が出てくるのです。

どうしてこの様に、同じような話をする子がいるのでしょうか?不思議ですよね。

私の勝手な憶測ですが、これは胎内記憶というより、もっと潜在的な母親への感情を表現した形ではないかと思うのです。
また中には「ママのがみがみうるさい声が聞こえてた。おにいちゃんを怒ってた。寒かった。丸くなってた。」とちょっと嫌な思いを話してくれる子もいました。

このように子ども達はお母さんのおなかにいる時からいろんな感情を持っているようです。

 

ママの心の充足が、子どもたちの心のやすらぎに

「胎内記憶画」を通じて、産科や精神科のお医者様など、広く他分野の先生とお話しする機会を与えて頂いたのですが、やはりおなかの中にいるころは大事な時期で、心にトラウマを持って大きくなる子もいるそうです。

こうして胎内記憶について知れば知るほど、私もドキッとすることが沢山あります。
妊娠期間ってほんとに大切なんですね。
でも怖がる必要もないと思います。お忙しい方でも、いつでもどこでも、おなかの中のお子様と心の中で会話することで、赤ちゃんはちゃんとお母さんの愛情を感じとっているのですから。

周産期も出産後も、またそれからだって不安だらけの子育てです。
大変なこともあるとは思いますが、楽しんで子育てしてくださいね。

また、子育てで自分は犠牲になっていると思いながら空虚な気持ちで子育てするより、お母さんも出来る範囲で好きな仕事を持って自分自身を充実させることです。
忙しくても、時間を決めて子どもと一生懸命遊んであげること、十分愛情をそそぐことが一番だと思います。

私も手探りの子育てでした。子ども達もアートに巻き込んで、なんだか毎日実験のようでした。
勝手な母親で申し訳ないと思っていましたが、娘たちは「アートをしている時が一番ママらしい。それは誇りに思ってるよ~。子育てだけしていたら、きっと教育ママになって私たちはグレてたよ(笑)」と言っています。
失敗だらけの欠陥ママでしたが、周囲の人々にも助けられ、がきんちょだった娘たちもなんとか大きくなりました(笑)

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吉田和代さん  プロフィール

吉田さん2

カルトン・アート・スタジオ、カルトンクラブ(絵画造形教室)主宰
美術作家、アートワークショップ、「胎内記憶画」の研究
(論文)「胎内或いは出生時に関する記録画」の研究(2012 美術科教育学会)

 

 

知恵袋吉田和代さんプロフィール22013年12月  お面をつくろう「SATONONEカーニバル」<郷の音ホール壁面>
2013年8~9月 ゴミDEアート(ペットボトルのお魚) <三田市図書館>
2013年2月   ハモらっせ!トロフィー制作 <郷の音ホール>
2012年11月  「絆のドローイング:胎内記憶」展示とWS <郷の音ホール>
2012年9~10月 船坂ビエンナーレ「絆のドローイング:胎内記憶」展示
2012年8月   ~ママのおなかにいた頃を思い出そう~胎内記憶 <旧船坂小>
2012年2~4月  キッピー山の秘密基地 <有馬富士学習センター>
2011年        近畿どてら会(医師会)「胎内記憶画」発表

他個展、グループ展多数

<お問合せ>

カルトン・アート・スタジオ
住所 〒651-1301 神戸市北区藤原台北町7-5-14
TEL 078-982-1192